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小さなエクステリア工務店を経営してみた結果、全然上手くいかなかった話 ​

2023年2月2日コラム

エクステリア工務店の経営に失敗しました。
誰の役に立つか分からない失敗談ですが、
廃業に至るまでの軌跡、
理由などを書いていきます。

僕の経歴

エクステリア工務店で設計、作図を担当。
その会社の営業マンと組んで独立。
独立後は社長として設計、営業をやっていました。
数年ほど経営した後、残念ながら廃業しました。
現在はプログラマーとして働いています。

廃業理由1:エクステリア需要の減少

年を追うごとにエクステリアの需要が減少しています。
統計では公的機関が出している新築着工件数資料を見れば分かりやすいでしょう。
図にすれば右肩下がりのグラフになっているはずです。
新築建物が減れば当然付随する庭の工事も減ります。
そのため庭の需要は新築着工件数に強い相関関係があります。

若い世代の収入が減少しており、
人口も減少しているため、
今後回復する可能性は薄いと思われます。
とはいえ住居に関する業なので需要が消滅することはありえません。
小さくなったパイを各社で取り合う事になるでしょう。

廃業理由2:クソッタレなビジネスモデル

えぐい紹介料

弊社は基本的にハウスメーカーの下請けをやっていました。
ハウスメーカーから紹介を受けたお客様にお庭のイメージ図を提案し、
了承を頂いたら工事に入るという流れです。

契約後、ハウスメーカーに紹介料として契約金額の10〜20パーセントを支払う必要があります。
お客様を紹介するのはハウスメーカーの営業だったり現場監督だったりするのですが、
この人達からもお金を請求されることが多いです。
「これからも仕事流すから個人的に少しくれ」と言われます。

契約金額の20~30%が紹介料で吹き飛ぶことはざらにあります。
悪どい人はハウスメーカーにバレないように紹介料全額を懐に入れているケースもあります。
そのためハウスメーカーを通して紹介されたエクステリア工務店を使用すると高い金額を請求されます。
庭の値段を安く抑えるには絶対にハウスメーカー紹介のエクステリア工務店を使ってはダメです。

ハウスメーカーの担当はよくこう言います。
「少し高くなってしまいますが、
 指定業者だと家の工事と連携が取りやすいの安心です。
 何かあった時も我々が窓口になれますよ?」

僕の知っている限りではそんな素敵な連携はして頂いてないです。

建築工事のスケジュールをなかなか教えて頂けなくて困ったことなら死ぬほどあります。
むしろ、下請けなのに連携がうまく取れず、
お客様から叱られたことの方が多いです。

ハウスメーカー担当者は家を建て終えた案件には関わりたくないのが本音なのです。
高度な連携など期待できません。

たしかに指定業者を使えば庭のクレームをハウスメーカーに言うことは可能です。
でも、結局はお客様の発言をそのまま横流しするだけなのであまり意味がありません。
むしろ伝言ゲームになるので不正確になりやすいです。

ハウスメーカーは家のプロですが庭にはさほど詳しくありません。
不可能な施工を約束してしまうこともあります。
ご要望は直接言って頂きたい、
と当時は常に思っていました。

ビジネスモデルの展開を試みて失敗する

さて本題です。
先程説明したハウスメーカーによる紹介には様々なデメリットがあります。
なので我々エクステリア工務店は考えました。
「そうだ、エンドユーザーに直接提案すれば良いのだ」
そうすれば専門家でないハウスメーカーの人間から指図されることもなく、
紹介料という利益を圧迫する支出も不要になります。
さまざまなエクステリア工務店が生き残りをかけてエンドユーザーの獲得に走りました。

弊社もその波に乗り、
エンドユーザーを求めて様々な作戦を実施しました。
・チラシのポスティング、
・現代風の自社サイトの構築、
・SEO対策にエクステリア用語集の設置などを行いました。

しかし、思った以上に効果が出ませんでした。
弊社だけでなく他社も上手くいっていない所が多かったように思います。

引用:進撃の巨人

そしてみんな、幸せになれないと分かりながら下請けの道に戻って行きました。
社員を食わせるためにも、
施工する職人を確保するためにも、
ある一定以上の案件数は必須だからです。
儲かりっこないビジネスモデルに弊社はどんどん疲弊していきました。

廃業理由3:職人運用の難しさ。

弊社は自社に職人をもたず、
フリーランスの職人に依頼して施工を行っていました。
できうる限り良い職人を使うようにしていましたが、
スケジュールによっては腕のヘボい職人を使わざるを得ないことがあります。
そして施工のミスが発生します。

お客様は賢いのでほとんどの方が元請けのハウスメーカーにクレームを入れます。
直接弊社に連絡するより、
元請けのハウスメーカーに連絡した方が解決しそう、
と思うのは自然なことでしょう。

そのクレームで怒り狂ったハウスメーカー担当から連絡が来ます。
「お前の所のミスなんだから全額そっちで負担してやり直せ」
悲しい気持ちを押し殺し、
やり直し工事をまともな職人に依頼して再度工事を行います。
当然利益は吹っ飛び赤字が発生します。

職人の高齢化に伴い、
職人数が不足しているのが現状です。
繁忙期にはヘボい職人を使う必要があるためこういう悲劇が起こります。

弊社廃業の最大の理由がこのやり直し工事です。
頑張って営業して得た仕事で立て続けに施工ミスが発生すると正直心が折れます。


「自社にまともな職人を入れれば解決するのでは?」

とお思いでしょう。
しかし、まともで腕がいい職人は引っ張りだこなので、
フリーランスでいた方がメリットが強く、
なかなか社内工として雇うのは難しいと思われます。
何回か腕の良い職人を口説いたのですがお断りされました。

廃業理由4:結婚

色々と儲からない理由を列挙してきましたが、
とはいえ生活できる程度の金額は稼げていました。
しかし、僕は当時付き合っていた彼女と結婚したかったので、
もっとお金を稼ぐ必要性がありました。

選択肢は2つありました。
・さらなる努力をしてエクステリア工務店の経営を最適化する。
or
・諦めて他業種でお金を稼ぐ。

僕は他業種に行くことを選択しました。
現在、プログラマーとしてそれなりに稼げているので、
間違った選択だとは思っていません。

ただ、たまに「もっとうまくやれたんじゃないか」と思い返し、
後悔する時があります。

エクステリアの今後

IT業界に入ってその需要の多さに驚愕しました。
需要が多ければ稼げるチャンスも多いです。
「IT産業は騒がれているほど需要がない」、
と仰る学者の方もいますが、
エクステリアに比べれな破格の需要数です。

正直エクステリア業界の先行きは暗いと思います。
就職を考えている方は正直取りやめることをおすすめします。

特に庭の設計は待遇がめちゃくちゃ悪いので、
渾身の力を込めて「やめておけ」と言いたいです。

2023年2月2日コラム

Posted by raishin